WORKS施工実績
平成25年度 順天湾国際庭園博覧会2013佐賀県庭園築庭工事
官公庁韓国南西部の全羅南道 順天市で、2013年4月20日から10月20日の6ヶ月間、「 地球の庭園 」をテーマに順天湾国際庭園博覧会2013が開催されました。
世界の庭園が一堂に会した国際庭園博覧会は、順天湾の低湿地帯に新しく造成して、約111.2haの会場整備がなされており、6ヶ月間の会期中に430万人が訪れました。順天市は、これを契機に「 生態都市 」としての都市計画が進められました。
日本からの庭園出展は、佐賀県と高知県の2県がそれぞれの日本庭園を現地に作庭しましたが、佐賀県庭園は、伝統的な日本庭園技術を象徴するデザインであり、佐賀県の風土から生み出された日本庭園の姿を描き出した物であります。
マツ林及び回遊式の砂利敷き園路の風景は、日本古来の風景である「 白砂青松 」を象徴しており、滝の躍動感から下流の池への静的な水の流れの変化を伝統的な日本古来の「 山紫水明 」を表現しています。
又、四季折々に、建築空間と溶け込むように移ろいゆく日本庭園を表現します。造形の美しさを表現する事もさることながら、刻一刻と時空に漂う移ろいを捉える事こそが、日本文化である癒しの心を持った日本庭園の魅力であります。
佐賀県の風景は、北部を虹の松原に象徴されるように、マツと白砂のコントラストが存在しており、南部は脊振山脈から流れ出る清水が、急な流れや滝を経由して、下流の広い佐賀平野をゆっくりと時間をかけて有明海に注ぎ込まれていきます。順天市と気候や自然環境が類似している佐賀県の風景を象徴しており、韓国との国際交流を意図した表現としています。
開園2年前の2011年1月に、設計及び技術指導を(一社)佐賀県造園建設業協会へ依頼され、基本コンセプト、基本計画、概算積算に取りかかりました。その後3回渡航しての博覧会組織委員会との協議や、2度の修正を経て基本計画を策定しました。
当初の計画では、実際に水を使用しての池泉式庭園でしたが枯山水に変更となり、その後も作庭場所の変更や面積変更等のハプニングがありながらも、5回の計画変更を経て実施設計を完成させることができました。
開園1年前の2012年2月から現場の築庭工事に取りかかり、計7回渡航しての現地施工により、開園前には約1,700m2の佐賀県庭園を完成させることが出来ましたが、何度も現地調達の資機材や作業員が揃わなかったり、急遽日本から資材等を輸送したりのハプニングもありました。
まさに言葉や文化の違いを痛感した日々でありましたが、日本と韓国の友人がお互いに協力しての日本庭園築庭工事は、有意義であり楽しいものになりました。